理由

このニュースで書かれていることが、自分がヒップホップを聴く理由の1つなんです。

「下流」の現実リアルに 新世代ラッパーの歌詞に存在感
 貧困や犯罪、投獄など苛烈(かれつ)な実体験をラップする新世代の日本人ラッパーがゼロ年代以降、相次いで登場し、「下流」の現実をつづったリアルな歌詞が共感を呼んでいる。1970年代に米国の貧民街で生まれたラップが、日本でも、格差の広がりを背景に、ストリートに根ざした表現として、存在感を増している。
■「貧乏 環境の悪さ 全部プラス」
 「少年院で見るテレビにZEEBRA(ジブラ)/消えかけたろうそくに火をつけた/教官にばれないように書くリリック/自分の胸に響く」(「K.I.N.G.」)
 2日未明、東京・渋谷のクラブにラッパーANARCHY(アナーキー)が姿を現すと、数百人の聴衆が拳を突き上げ、大歓声で出迎えた。この日歌った「K.I.N.G.」の歌詞には、彼の人生が色濃く反映されている。
 30歳。大阪に生まれ、3歳で京都の市営住宅に移った。小学校に入った頃、両親が離婚し、母親は家を出て行った。食事と言えばインスタントラーメン。中学でラップにハマり、ラジカセを持ち歩いて公園で披露するようになった。
 「誰にもナメられたくない」と、17歳で暴走族のリーダーに。ケンカや悪さを繰り返し、決闘罪などに問われ、1年間を少年院で過ごした。そこで、邦楽ラップ界の重鎮ジブラが出演する音楽番組を目にしたことが、本格的にラッパーを志す転機になった。
 出院後、2005年にCDデビュー。「K.I.N.G.」収録の3枚目のアルバム「Diggin’ Anarchy」は今年8月の発売後、オリコンのインディーズチャートで4位に入った。念願かない、ジブラの新作で共演することも決まった。
 「貧乏のことも、育った環境が悪かったことも、全部プラスに変えられるのがヒップホップ。オレがラップし続けることで、日本中のファンに夢を見せたい」
 33歳のラッパー鬼は、傷害や覚醒剤使用で2回、服役した。「中学卒業も更正院 数年後には準構成員/旅打ちはまるで小名浜のカモメ/行ったり来たりが歩幅なのかもね」と自身のルーツを歌う「小名浜」(アルバム「赤落(あかおち)」収録)のビデオは、ユーチューブで34万回以上再生されている。
 19日には、獄中体験をつづった曲を中心としたアルバム「嗚咽(おえつ)」を出す。鬼は「悪さ自慢や不幸の背比べには興味がない。ただ真実をラップしたいだけ。言葉は平等だからね」と語る。
 新世代には、SEEDA、B.I.G.JOE、SHINGO☆西成らもいる。あるレコード会社幹部は「歌詞を重視するリスナーが増える中で、強いメッセージを持ったラッパーの活躍が目立つ」と話す。
■格差拡大と直結
 ストリート感覚を歌った日本語ラップはこれまでもあった。ただ、中流以上の比較的富裕な層を出身とするラッパーが多い先行世代に対し、新世代の多くは、経済的に苦しい環境で育った点に特徴がある。日本語ラップが「下流」層にも浸透してきたのは、なぜか。 「ヒップホップ・ジャパン」の著者で批評家の陣野俊史さんは「ラップはお金がかからない音楽形態。マイク1本あればできるし、楽器を演奏するスキルも必要ない。これまで言葉を持てなかった人たちの新たな表現手段として、ラップが市民権を得た」とみる。
 音楽評論家の二木信さんは「米国のラップは、80年代の新自由主義改革で格差社会に突入する中、芸術としての輝きを増した。日本の新世代ラッパーの音楽も、格差拡大という社会背景と直結している」と語る。日本語ラップの方法論を確立するために試行錯誤してきた先行世代に比べ、新世代は「『ラップを日本に定着させる』という力みから解放された分、世界をリアルに記述することに専念できた」という。
 文芸誌「新潮」で「夜露死苦現代詩2・0 ヒップホップの詩人たち」を連載する編集者の都築響一さんは言う。「彼らは街の詩人。ぬるま湯のような文学やロックバンドの歌詞よりも、はるかにリアルで面白い」(朝日新聞)

なんていうんですかね、このニュースで取り上げられている「ANARCHY」や「SHINGO☆西成」は、ゲットー感あふれる作品を作っていますよね。

「ANARCHY」に関しては、あまり興味がないので客演ぐらいでしか知らないんですが…
「MURO」プロデュースのニューアルバムには興味がすごくあるんですが、まだ食指を伸ばしていないというわけなので、全く興味がないといったら嘘になりますけどね。

「SHINGO☆西成」に関しては、「ILL西成blues」が至高ですよね、ってか、逆にこれしか…
ちょっと前に出たニューアルバムを聴いてみたいんですが、またこれにも、まだ食指を伸ばしていないので、あまり知った風なことは書けません。

実際のところ、この「ANARCHY」や「SHINGO☆西成」は、生まれ育ちがゲットーなわけで、そういう芸風と言うか作風になるわけですけれども、逆に日本のヒップホップのパイオニアである「RHYMESTER」や「キングギドラ」には、こういうゲットー感のある曲は作れないんですよね。
「RHYMESTER」の3人は早稲田卒ですし、「キングギドラ」のZEEBRAやDJ OASISは慶応の附属に行っていたから、基本的に金持ちなんですよ。
ギドラでもK DUB SHINEに関しては、割とゲットーな感じだったそうですけど…
だからと言って、「RHYMESTER」には『HANDS』って曲がありますし、「キングギドラ」には『アポカリプスナウ』って曲があるわけで、社会派ラップって言うのはできないわけではないですが、等身大のような作品は出来づらいでしょうね。
やはりどう見ても、大所高所になってしまうわけで…

そこで、ニュースに以下のようにあるんです。

ストリート感覚を歌った日本語ラップはこれまでもあった。ただ、中流以上の比較的富裕な層を出身とするラッパーが多い先行世代に対し、新世代の多くは、経済的に苦しい環境で育った点に特徴がある。日本語ラップが「下流」層にも浸透してきたのは、なぜか。 「ヒップホップ・ジャパン」の著者で批評家の陣野俊史さんは「ラップはお金がかからない音楽形態。マイク1本あればできるし、楽器を演奏するスキルも必要ない。これまで言葉を持てなかった人たちの新たな表現手段として、ラップが市民権を得た」とみる

それは、ライムスやギドラのような日本におけるパイオニアの存在によって、レコードの曲の同じパートを何度もループさせて曲を作るというサンプリングという技法や、韻を踏むことで歌詞に注目させるというラップという技法により、リアルなゲットー感を表現する方法が確立されたといっても過言ではないと思います。
ま、同じことを書いているわけですけれども。
実際にライムスの宇多丸さんは、「ZEEBRAが一時期から意図的にラップという歌唱法の敷居を下げ、誰もができるような表現の仕方をした」という旨の発言を行っています。

結局のところ何が言いたいかといいますと…
ヒップホップはYoとか、Hoとか、ダジャレみたいでどれも同じとか四の五の言わず、とにかく聴いてみろって話です。

1件のフィードバック to “理由”

  1. […] 前に取り上げたニュースに話を戻すんですけど… とにかく、下の動画を観てください。 […]

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